通信制高校へ転入・編入するとき、前の高校で正式に修得した単位は、転入先の卒業単位として認められる可能性があります。ただし、通知表に32単位とあっても、32単位がそのまま自動的に移るとは限りません。
判断に使うのは、前籍校が発行する科目別の正式資料と、受入校の教育課程です。認定単位の合計だけでなく、認定する科目、保留・対象外となる科目、残る必履修科目、転入後の履修計画を同じ回答で確認します。
単位は引き継げるが自動的に全部ではない
高等学校学習指導要領解説では、全日制・定時制・通信制の各課程で修得した単位は相互に共通して有効と説明されています。また、単位制高等学校教育規程では、過去に在学した高校で修得した単位を、受入校の校長が自校の全課程の修了に必要な単位数へ加えることができます。
ここで、前籍校が単位を修得済みと証明することと、受入校が自校の卒業単位へ算入することを分けます。
| 段階 | 確認内容 | 主な資料・判断 |
|---|---|---|
| 修得済みか | 前籍校が正式に単位を認定したか | 単位修得証明書等 |
| どの科目か | 科目名、単位数、修得年度、学科・課程 | 成績・単位資料、教育課程表 |
| 卒業単位へ算入するか | 受入校の教育課程・卒業要件に合うか | 受入校の校長・教務の判定 |
事前相談で通知表の写しを使える場合はありますが、正式認定に必要な書類名・様式・提出経路は学校ごとに異なります。指定を聞く前に証明書を取り寄せると、様式違いで再発行が必要になる場合があります。
認定対象になりやすい単位と個別確認が必要な単位
| 前籍校での状態 | 受入校へ確認すること |
|---|---|
| 普通科の科目を修得済み | 科目名・単位数・年度を照合し、卒業単位へ算入するか |
| 商業・工業・農業等の専門科目 | 算入できる単位と、別に不足する必履修科目 |
| 学校設定科目 | 科目内容と受入校の卒業要件との対応 |
| 旧学習指導要領の科目 | 現在の科目との読み替え・対応関係 |
| 複数校で似た科目を修得 | 重複を避けた科目別の認定内訳 |
専門科目や学校設定科目に、全国一律の認定表があるわけではありません。「専門科目は引き継げない」「同じ科目名なら必ず認定される」と決めず、正式書類を基に科目別で回答してもらいます。
認定単位が多くても、普通科の必履修科目が不足する場合があります。反対に科目名が異なっても、受入校が教育課程を照合して卒業単位へ算入できる場合があります。総認定単位数と不足科目は別の欄で確認してください。
普通科・専門学科・複数校で確認点が変わる
普通科から移る場合も、「国語」「数学」と教科名だけを伝えるのではなく、「現代の国語2単位」「数学Ⅰ3単位」のように正式な科目名と単位数を確認します。同じ教科でも、必履修科目と学校設定科目では扱いが異なる場合があります。
商業・工業等の専門学科から移る場合は、専門科目を何単位算入できるかと、受入校で新たに履修する必履修科目を一緒に聞きます。「32単位認定予定」という合計だけでは、卒業までの科目数や学習負担を判断できません。
高校を2回以上移っている場合は、在籍校を時系列に並べます。最後の学校の証明書に、さらに前の学校から認定された単位が含まれていることがあるため、同じ単位を二重に数えないよう、受入校へ各校分の内訳を確認します。
| 確認欄 | 高校A | 高校B |
|---|---|---|
| その学校で修得した単位 | 単位 | 単位 |
| 前の学校から認定した単位 | なし | A校分 単位 |
| 今回の受入校が認定する内訳 | 科目別に確認 | 科目別に確認 |
履修中・未修得の科目は修得済みと分ける
今年度に履修中で、前籍校がまだ単位を認定していない科目は、修得済み単位へ足しません。転入日までに前籍校で認定されるのか、転入先で学習を継続できるのか、再履修になるのかを科目別に確認します。
授業へ出た、レポートを提出した、評定欄に数字があるという事実だけで、正式な修得単位とは判断できません。前籍校が単位修得を証明できる科目と、履修中・未修得・修得見込みの科目を分けて学校へ示します。
この記事の判断対象は正式修得済み単位です。履修中科目の途中経過や未修得科目の再履修は、受入校の別の判定になります。両方を最初から合計すると、卒業までの不足単位を少なく見積もる原因になります。
引き継げる単位数を確認する5ステップ
- 手元資料を整理する:科目名を修得済み・履修中・不明に分けます。
- 候補校へ事前相談する:現在の学籍、前籍校の学科、希望転入日を伝えます。
- 必要書類を確認する:指定様式、教育課程表の要否、提出期限を聞きます。
- 前籍校へ発行を依頼する:複数校歴がある場合は、どの学校の資料が必要か先に確認します。
- 科目別の回答を記録する:認定単位、不足科目、転入後の履修計画を受け取ります。
正式認定を入学後に行う学校もあります。その場合は、出願前にどこまで見込みを示せるか、正式結果が変わったときに履修科目・学費・卒業予定がどう変わるかを確認してください。
同じ32単位でも認定結果が変わる
次は仕組みを示す架空例です。合計は同じでも、科目の内訳と認定前の履修を分けると確認結果が変わります。
| 前籍校の状況 | 受入校で確認する判断 |
|---|---|
| 普通科で32単位を修得 | 認定内訳と、残る必履修・指定科目 |
| 専門学科で32単位を修得 | 専門科目の算入数と、普通科で不足する科目 |
| 修得32単位+履修中20単位 | 確定32単位と、未認定20単位の今後の扱い |
「74-32=あと42単位」とだけ計算しても、いつ卒業できるかは分かりません。残る科目の開講時期、年間の履修可能量、必要な在籍期間を合わせて、受入校の履修計画を確認します。
高2で同級生と同じ3月卒業を目指す場合は、認定単位に加えて年度途中の期限も確認してください。

単位認定見込み表で学校回答を記録する
口頭の「ほとんど引き継げます」ではなく、単位認定見込み表へ科目別の回答を自分で記録します。学校に外部作成の表への記入・署名を求める必要はありません。
| 確認欄 | 学校の回答 |
|---|---|
| 前籍校の正式修得単位 | 合計 単位 |
| 卒業単位として認定予定 | 合計 単位 |
| 認定する科目の内訳 | |
| 保留・対象外の科目と理由 | |
| 不足する必履修・指定科目 | |
| 履修中科目の扱い | 前籍校認定・継続・再履修 |
| 転入後の履修計画 | 今年度: /次年度: |
| 回答段階・変更条件 | 事前見込み・正式書類後・入学後認定 |
比較する学校には同じ前籍校資料を示します。正式結果が出たら、学校の単位認定結果・履修計画と表を照合し、見込みから変わった科目を更新してください。
複数校を比べる場合は、認定単位の多さだけを順位にしません。同じ認定数でも、残る科目が転入した学期に開講される学校と、次年度まで待つ学校では、卒業までの期間と学習負担が変わります。認定内訳、開講時期、1学期・1年間に登録できる量を一組の回答として比べてください。
回答日と担当部署も記録します。相談時の見込みから正式認定が変わったときは、どの書類・科目が理由かを確認し、履修計画と費用の変更を同時に更新すると、単位数だけが独り歩きするのを防げます。
使った指定様式の対象年度と版も記録します。
まとめ
前の高校の正式修得単位は引き継げる可能性がありますが、合計の自動移行ではありません。科目別資料を基に、認定内訳、不足科目、履修中科目の扱いを単位認定見込み表へ記録し、転入後の履修計画まで確認しましょう。
参考資料
- e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
- e-Gov法令検索「単位制高等学校教育規程」第7条
- 文部科学省「高等学校学習指導要領解説 総則編」
- 文部科学省「高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項等」


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